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[コメント] 戦慄のスパイ網(1939/米)

米国内におけるナチスのスパイ活動とFBIの対応を描くプロパガンダ映画。1939年の時期で、ユダヤ系のリトヴァクによって、このような映画が作られていることには驚くが、少々粗っぽい出来ではある。
ゑぎ

 ドイツからの移民たちを先導する医師、ポール・ルーカス。米軍機密を盗もうとする活動家にフランシス・レデラーがおり、ドイツと米国を行き来するナチス将校にジョージ・サンダース、サンダースの愛人(ビスマルク号の美容士)のドロシー・ツリーらがドイツ側主要キャスト。こゝに、映画が始まって40分ほど経ってから、FBIのエドワード・G・ロビンソンが登場する。

 前半はレデラーのスパイ活動がメインで描かれるが、この人物が思慮の浅いキャラクターで、格好悪く描かれる。中盤で逮捕され尋問されると、ロビンソンが大物であるかのようにプライドをくすぐり、あっさりと自白してしまうのだ。このあたり、本作自体も底の浅いものに感じられてしまう。 また、ロビンソンがスパイたちを次々に確保する場面が「逮捕する」という科白の反復と共に繋がれるのだが、この部分はハリウッド娯楽作の調子で楽しいと思う反面、これも安易な演出と表裏一体に思う。

 尚、サンダースに付き添って来るゲシュタポのライオネル・ロイスが怖くて悪役としては良い造型だ。本作におけるゲシュタポのターゲットはナチスに非協力的な、もしくは、ナチスを裏切る在米ドイツ移民であり、拉致して船でドイツへ連れて行く、ということにとどまるのだが(多分、政治犯として酷い扱いを受けるということだろうが)、ゲシュタポに対する恐怖感はよく出ている。

#少しだけ脇役について備忘で記述。

 ルーカスの演説会でレデラーと一緒に聞いているのは、ジョー・ソーヤーだ。レデラーのような熱心なナチス賛美者としては描かれていない。また、ワード・ボンドも一瞬顔を見せる。スコットランドで手紙の中継を行う主婦のスパイはエイリー・マリオン。ライオネル・ロイスとコンビを組むゲシュタポはヘンリー・ヴィクター。終盤の裁判シーンの検事役はヘンリー・オニール

(評価:★3)

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