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[コメント] 野戦軍楽隊(1944/日)

城壁が奥に見える原っぱのような場所で、子供達を集めて、日本人が、日の丸の歌を指導している。途中何度か、城塞の門のカット奥などで、矢張り子供たちに日本語の歌を歌唱指導する場面が出て来る。このようなシーン含めて、かなり牧歌的な雰囲気が印象に残る。
ゑぎ

 また、本作は松竹三羽烏映画でもある。佐分利信は尉官で、軍楽隊の指揮を任される。上原謙佐野周二がクラリネット奏者。しかし、上原は音大出身の熟練者で佐野は全くの素人という設定。本作は、佐野と上原との対立、佐野の反抗と変貌が中心に描かれる、佐野が主役と云っていいだろう。反抗的だった佐野は、泣き止まない赤子が佐分利のクラリネット演奏で泣き止むのを見て、心を入れ替える。このあたりの描き方は、単純過ぎる演出だ。また、慰問のための移動中に、佐野の原隊、工兵たちが架橋敷設している場所に差し掛かり、佐野が独奏で、日本陸軍の歌を吹く、という晴れがましいシーンも与えられている。ちなみに、杉狂児三井秀男(弘次)がトランペットのコンビで、コメディリリーフ。

 尚、李香蘭は一曲のみ唄う。軍楽隊のスジには全く絡まない、ゲストスターだ。しかし、彼女のシーンはクレーン移動がふんだんに使われる浮遊感のある演出で、特別扱いであることが了解できる。

 勿論、タイトルにもなっているので、野戦シーンもあり、爆撃と機銃掃射が描かれるが、あまり気合いの入った演出にはなっていない。楽隊の面々は、カムフラージュをして演奏する。野戦中に、中国人女性が恭順を説得する放送を行ったりもするが、マイクを使っているようにも見えないので、不思議な場面になってしまっている。

(評価:★3)

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