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[コメント] 異端の鳥(2018/チェコスロバキア=ウクライナ)

沢山の動物が出て来る映画だが、その多くは殺されるためにある。イタチ、ウマ、トリ、ヤギ、ヒト。ネコとネズミは殺されない。また、窓、ガラス、ビンは、割られるためにある。そんな映画。
ゑぎ

 シネスコ。モノクロ。エンディングまで劇伴なし。各挿話の冒頭、人名のサブタイトルが出る。3時間近く、嫌味な、これ見よがしなアート志向の演出を見せられたら辛いなぁと心配していたのだが、そんなイヤラシさは無く、全編フォトジェニックな画面なのに、とても潔くカッティングしていく映画でした。素晴らしく力に満ちたカットも一瞬で切られていく感覚を持つ。

 このような映画に有名俳優が結構出ているのにも驚かされる。まず、ウド・キアは相変わらず怖い。猫の交尾を見せつけてからキレる、ってのがいいですね。ステラン・スカルスガルドは貫禄あり過ぎて、出て来た時は指揮官かと思ったが、一兵士なのか。彼でなくてもよい役柄、ってのが余計に贅沢な感じが出る。ハーヴェイ・カイテルジュリアン・サンズはまさに適役。カイテルが出て来ると、とても安心感があり、ホッとする。それは本編中、彼だけかもしれない。そして、バリー・ペッパーだ。ソ連軍兵士でスナイパーの役なのだ。ずっと無言なので、最後まで喋らないのかと思った。しかしカッコいい役。主人公に「目には目を、歯には歯をだ」という重要な示唆をする。

 あと、『炎628』の主人公の少年・アレクセイ・クラフチェンコもソ連兵の役で出演しており、本作の一村の大虐殺シーンが『炎628』の影響である(というかリスペクトである)ことを隠さない(ついでに云えば、この殺戮シーンは、『七人の侍』の野盗の急襲も思わせる場面だ)。しかし、上で書いた通り、本作の殺戮シーンもとても簡潔な見せ方であり、阿鼻叫喚を長々と見せられる訳ではない。その点も、私は好感を持つ。(『炎628』は少々クドイと思う)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)jollyjoker

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