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[コメント] フェアウェル(2019/米=中国)

見る前は、プロット主導の映画なのだろうと思っていたのだが、いや、結構、画面造型も頑張っている。開巻は、カルデラ湖の手前に花が描かれた絵画。これは中国・長春の病院の壁にかけられた大きな絵なのだ。その前で電話をするお祖母さん。
ゑぎ

 電話の相手は孫娘のビリー(オークワフィナ)。NYで暮らす本作の主人公だ。ビリーも街頭看板を背景にしたカットで登場する。シネスコの画角を上手く使った画面で、冒頭からキャッチさせるのだ。あるいは、ビリーの従兄弟(父方の伯父さんの子)の結婚披露宴を口実にして親族が長春へ集まった後の、抒情的な、夜のホテルの窓外カット、あるいは、披露宴後、皆で横に並んで街を歩くスローモーション等も満足感を高める演出だ。

 さて、クライマックスは矢張り結婚披露宴のシーケンスだろう。従兄弟の結婚相手は日本人のアイコ(水原碧衣)。余興でビリーが父親と唄うのは、ロバータ・フラックで有名な「やさしく歌って」(Killing me softly with his song)だが、新郎新婦が二人でデュエットするのは、なんと「竹田の子守歌」なのだ。面白い!このシーン、私は大好き。これがあるから、本作にプラス1点したくなる、というべきシーンなのだ。全然まともに唄えない新郎を、新婦が優しく導くのもいい。こんなのありえない、とか日本に対するリサーチ不足、と思う観客も多いとは思うが、もしかしたら、この京都の民謡が採用されたのは、水原碧衣(関西出身らしい)のサジェッションじゃないのか、と思っているところです。

 また、ビリーを演じるオークワフィナ、猫背でスタイルも良くないし、取り立てて美人でもないが(劇中、何度か美人と世辞を言われるが)、お話が進んでくると、なんか可愛らしく見えて来るのです。

 尚、NYのビリーのアパートの部屋に窓から入って来た小鳥(雀みたいな)が、長春のホテルの部屋にもいる(同一種に見える)、というスピリチュアルな演出をイマイチ上手く活かさないのはどうか。そして、エンディングの見せ方も、もっと効果的な演出があるんじゃないだろうか、と思いました。簡潔さは良いですが。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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