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[コメント] 飢ゆるアメリカ(1933/米)

一次大戦の場面から始まる。塹壕の中での指示命令場面(敵の将校を捕虜にせよという指示)。この将兵達のバストショットからニーショットへの繋ぎも、とてもタイトな演出で、既にウェルマンらしいと思う。
ゑぎ

 結局、主人公のリチャード・バーセルメスは負傷し、独軍の捕虜になり、敵の野戦病院へ。こゝで痛み止めにモルヒネをもらったことで、麻薬依存から抜けられなくなる。復員し銀行に勤めるようになったバーセルメスが、モルヒネを買う金欲しさに横領をしようとする、といったと展開となり、『失われた週末』のような映画なのかと思っていると、あっという間に厚生施設に入れられて、薬物依存の問題は終了する。これには唖然となる。

 続いて、シカゴの下宿屋とクリーニング工場が舞台となり、こゝからがメインのプロットだ。下宿屋(と云っていいのだろうか)は、1階が食堂で、2階が宿泊施設になっており、チャーリー・グレープウィンと、その娘アイリーン・マクマホンがやっている。バーセルメスが下宿人仲間のロレッタ・ヤングに一目惚れしてから、結婚して子供ができるまでの展開も早い早い。このプロット運びの早さが本作のストロングポイントだ。さらに後半は非情な展開が待っているが、終わってみると、ヤング以上に、終始献身的なマクマホンがヒロインだったのだと分かるのだ。この帰結は感慨深いものがある。

#備忘

・バーセルメスの戦友で運よく受勲・昇進するのはゴードン・ウェストコット

・ウェストコットの父親は銀行家バートン・チャーチル。この人らしい冷徹な役。

・隣人の共産主義者マックスはロバート・バラット。このキャラの変貌は示唆的。

・ラスト近く、ウォード・ボンドがホーボーの一人として顔を見せる。チョイ役。

(評価:★3)

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