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[コメント] 女子高生に殺されたい(2022/日)

高校を舞台にした最近の邦画は、ことごとく窓からの白い光の取入れが目立つ、つまり、高校は白い世界に描かれることがもっぱらだ。
ゑぎ

 本作にもこういった白っぽい画面があるけれど、さらに、逆光の取入れが多く、頭上からの光も多々ある(ロバート・リチャードソンのような)。ちょっとクドク感じるところもあるが、これによって、見応えのある画面にしていることは確かだ。

 主要人物は、その性向や能力には、にわかに首肯できない前提もあるかも知れないが、役者たちは皆上手く描かれているし、切り取られるプロットとその構成も、良く出来ていると思った。前半は、田中圭が、誰に殺されたいと考えているかと、自身の殺害計画の伏線を見せるパートだが、男を殺すことのできる力の持ち主で、キャサリンという名前が提示される。その候補者として、南沙良(真帆)、河合優実(あおい)、莉子(京子)、茅島みずき(愛佳)とおり、特に、シェパードを使った、キャサリン確認シーンの、2人の女子高生の見せ方が上手く効いている。

 クライマックス、終盤のクラス演劇の場面における、田中が仕組んだ段取りは、流石に上手く行き過ぎると感じる部分があり、少々白けた(原作通りなのだろうが)。荒唐無稽なのはいいが、理屈っぽいのは映画的でない。また、このシーケンス中に、河合優実の本作最大の見せ場があるが、彼女の設定(生い立ちや能力)もルックスも、ありきたりに感じて、ちょっと残念に思った。ただし、幕の昇降のための電動ウィンチとロープを使って過剰に見せる画面作りには、侮れないものがある。

 あと、エンドロール後、「劇場用特別映像」というタイトル入りでオマケがある。これ、カッコいい映像なので、本作の満足度を高める(私のような原作を全然知らない者でも)。最後「FIN」と出た。

(評価:★3)

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