[コメント] 折れた槍(1954/米)
回想(シーン構成だけでなくモノローグでの回想含めて)を上手く使って大河ドラマ風の格調高さを演出しているが、いくつかとても引っかかる部分がある。例えば、ロバート・ワグナーとジーン・ピータースが馬車の遠乗りから帰って来て家の前でキスするシーン。
ピータースの父親・E・G・マーシャルがテラスから見ているカットを挿入するのだが、これがちょっと間抜けなカッティングなのだ。距離の感覚も悪いし、二人の仲をよろしく思っていない、というプロットの補強のつもりらしいが、全く理屈をつけるための無駄なカットになっている。或いは、スペンサー・トレイシーの裁判シーン(ラッセル・シンプソンが判事役でカメオ出演!)。検事役フィリップ・オーバーとトレイシーとのやりとりで、全く切り返しをしない。二人が一緒に収まったカットだけなのだ。同じように、体が不自由になったあとのトレイシーと、リチャード・ウィドマークとの中庭での会話シーンでもツーショットのまゝ切り返さない。これらは別に長回しの効果を狙ったわけでもなんでもないようで、単に動きのない画面になってしまっている。
#備忘
・トレイシーの前妻の子供がウィドマーク、ヒュー・オブライアン、アール・ホルマン。現在の妻が先住民のケティ・フラド。フラドとの間の子がワグナー。
・荒野を走る狼のカットから始まる。オオカミはトレイシーの象徴。ラストにも出てくる。しかし、いまいちとってつけたようだ。
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