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[コメント] 女であること(1958/日)

川島雄三版の『めし』といったところか。『めし』は言わずと知れた成瀬巳喜男の傑作だが、しかしこの『女であること』も川島らしい傑作です。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 『めし』と同じく脚本に田中澄江井手俊郎が参加している。『めし』は林芙美子原作だが川端康成が監修でクレジットされており、『女であること』は川端が原作。そして主演はいずれも原節子。子供のいない倦怠ムードの夫婦の元に突然若い娘が住み着き掻き回す、といった基本設定も同じ。

 こちらの若い娘は香川京子の陰と久我美子の陽が対比されて描かれている。他の作品も含めた私の好みで云えば圧倒的に香川京子に軍配を上げる、というより久我美子が良いと思ったことはないぐらいなのだが、この映画の久我美子は実に活発に動き回っていいですね。酔っぱらった久我が原節子の口唇にキスするのには吃驚しました。

 また、多摩川べりの斜面に建っている家の構造がいいです。原節子と森雅之が家の中で口論するシーンをジャンプカットのように時間と空間を飛び越えて繋ぐ演出にも驚かされる。また、斜面の描き方も素晴らしい。全てを丸く収めたかに見せて余韻を残すラストはちょっと強引な感もあるが、ラストへ至る話の運び具合も絶品。タイトルバックの丸山(美輪)明宏の歌も絶品。

(評価:★4)

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