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[コメント] 貸間あり(1959/日)

屋内に沢山の人物を出入りさせる川島演出は狭いシンプルな空間を舞台にしていることで『しとやかな獣』が際だっているとは思うが、この『貸間あり』は複雑怪奇な空間を舞台にしたことで川島のテクニックが存分に発揮されている。
ゑぎ

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 まず、舞台となる貸し屋の立地とその構造が面白い。大阪は夕陽丘の高台からの眺めがいい。「眺めがいい」とは、高さを強調するカメラアングルがいいということ。また、建物の構造について云えば、川島雄三らしい複雑に入り組んだ間取りで、部屋模様も和室あり洋室ありでそれぞれ面白い。屋内に沢山の人物を出入りさせる川島演出は狭いシンプルな空間を舞台にしていることで『しとやかな獣』が際だっているとは思うが、この『貸間あり』は複雑怪奇な空間を舞台にしたことで川島のテクニックが存分に発揮されている。もっとも、淡島千景乙羽信子が淀屋橋を歩くシーンだとか、フランキー堺小沢昭一の替え玉受験をする大学構内だとか屋外の空間も見事に描かれている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)寒山拾得[*] 死ぬまでシネマ[*] セント[*]

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