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[コメント] 5時から7時までのクレオ(1961/仏=伊)

面白い!どこを切り取っても、可愛らしさに溢れているが、理知による抑制も同居している。クレオは、若干分裂しているかのように、シーンによって感情の表出が異なって見える部分もあるのだが、映画的な二面性として納得できるバランスを確保している、というか、映画的な見せ場を作り出し続ける。
ゑぎ

 ともあれ、ジャン・ラビエの滑らかなカメラワークが心地よいことこの上ない。特に、クレオ=コリンヌ・マルシャンが、街、舗道を歩く場面が多々出て来くるが、その移動ショットが悉く快いのだ。多くは自動車での並走ショットと思われるが、ドリーショットと思えるカットもあり、感嘆しながら見続けた。また、本作でも、ラビエの撮影は少し上からの目線のカメラ位置が多く、落ち着かない感覚、じわりとした不安感を醸し出している。

 そして本作を見る喜びとして、二つのお宝映像を見ることができる部分を上げなくてはいけないだろう。一つ目は前半の、クレオの家に作詞家と作曲家のコンビがやってきて、ミュージカルシーンとなる場面。ピアノを弾きながらクレオの歌唱を指導する作曲家がとてもよく目立っているのだが、これが、ミシェル・ルグラン本人なのだ。二つ目は、ヌードモデルの友人と、映画館の映写室からサイレント映画を見る部分。なんと、登場するのはゴダールとアンナ・カリーナと、ジャン=クロード・ブリアリエディ・コンスタンティーヌだ。またこのサイレント映画自体が、遥かリュミエールへのオマージュも感じさせる良く出来たものであり、この部分でも、ヴァルダの溢れんばかりの才能を認識する。

(評価:★5)

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