例えば長女の松尾嘉代は、てっきり北林谷栄によってそういう店に売り飛ばされたか、そうじゃなくてもいずれ身を持ち崩すと思って見ていたのだが、全然そんなことはなく真面目に奉公している。小沢昭一だってもっとちょっかいを出してくるのかと期待していたのに、まるで好青年じゃないか。そんな中で、保健師役の吉行和子にはそこはかとなくエロティックなカメラの視線が定着しており救われるのだが（何が救われるのかよく分らんが）、吉行の母親・岸輝子と許婚の二谷英明が登場するワンシーンがいかにもお行儀がいいというか品行方正過ぎて白けてしまうのだ。

　昼の海、夜の海、そして圧倒的なボタ山の風景等、姫田真佐久のロケーション撮影はやっぱりいい。