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[コメント] 少女ムシェット(1967/仏)

これまた恐ろしく峻厳な映画だ。多分、多くの人はこのような映画を芸術映画だと決めつけるのだろうが、私にとっては非常に面白い娯楽作であり、もっと言えば真の意味での「活劇」だと思える。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 冒頭の鳩(?)への罠をしかけるシーンから、ブレッソンらしい手と足の演出が炸裂し、一瞬たりとも目が離せなくなるのだが、特に雨の夜、森の中で、ずぶ濡れになったムシェットが、黒い腿までのストッキングをはきかえる性的な暗示のシーンからラストまでの息詰まる緊迫感。密猟をする男とムシェットが二人きりになってからのスリリングなこと!抵抗しながらも男に抱かれるシーンのムシェットの嗚咽の曖昧さ。冒頭の鳩の密猟に呼応するかのようにラスト近くで集団による兎狩りのシーンがあり、兎の運動と停止の映画的ダイナミズムはムシェットの帰結を充分に暗示する。

 ただし、シーンの繋ぎが粗っぽいところがある。特に場所・空間の関係がつかめず、少々混乱を覚える部分もあり、前作『バルタザールどこへ行く』と比べれば若干完成度は落ちる。

(評価:★5)

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