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[コメント] 賭博師ボブ(1955/仏)

メルヴィルの演出とアンリ・ドカエのカメラを愛でる映画。ほとんどヌーベル・ヴァーグのカメラワークとカッティング、いや、カメラが街へ出た喜びの表出だ。しかも、どんなヌーベル・ヴァーグ作品よりも、スピーディな展開なのだ。アンヌ登場の朝の街角。この演出が決定的なヌーベル・ヴァーグの萌芽だろう。
ゑぎ

 ボブ役のロジェ・デュシェーヌは実に渋く、貫録充分で、賭博師という言葉のイメージがそぐわない程大物感のある造型だ。アンヌ−イザベル・コーレイには度々サービスカット有り。乳房まで映るが、さらけ出すという感じではなく、あくまでも、ちらちらと映るところがまたいい。ボブの若い仲間のポロ−ダニエル・コーシーとボブとアンヌの微妙な三角関係の映画でもある。と云っても、アンヌは他の男とも関係を持つ、ということころが、彼女のキャラクターの重層的な魅力なのだ。そしてラストのアイロニー。『勝手にしやがれ』への橋渡しと、カジノ金庫強盗計画の顛末の脱臼技。矢張り、聞きしに勝る傑作だ。

(評価:★4)

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