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[コメント] フレンチ・カンカン(1955/仏)

2020年末、35ミリフィルム上映で、再見する機会に恵まれた。これは間違いなく人類の至宝だ。人類史上最高の映画監督はルノワールだと思えて来る。
ゑぎ

《以下レビューは若干梗概を含みます。ネタバレと思われる方も、おられるかもしれません。ただし、本作は、梗概を既知であることで、面白さが損なわれるようなケチな映画ではないと思います(ネタバレに敏感な未見の方はご注意を)。》

 冒頭の劇場のシーンからすごい濃密度。劇場を出て、下町のダンス場(酒場)を見に行き、フランソワーズ・アルヌールと出会う場面も、冒頭を上回る高揚感。ジャン・ギャバンのダンスの迫力にも舌を巻く。そしてこの後、全く、あっけらかんと、セックスが描かれるのにも驚かされる。まずは、翌朝のギャバンのベッドに、裸のマリア・フェリックスが寝ている。フェリックスは、他の男とも関係するシーンがクロスカッティングされる。アルヌールは、ギャバンにスカウトされてすぐに、パン屋の青年と結ばれる(ギャバンと寝ないといけないと思い込んでいたので、初恋の青年に処女を捧げたのだ)。しかし、終盤、アルヌールは、ギャバンの愛人になる。なのに、ギャバンは、新たにスカウトした歌手と懇ろになる。エンディングのカンカン中にも、ギャバンは客の女性に声をかける。そう、ルノワールは、映画に対して最高に倫理的なのだ。

 そして、エンディングのカンカンは、恐るべきスペクタキュラーで、全ての軋轢や葛藤を吹き飛ばしてしまう。文字通りの狂喜乱舞。これぞ映画が持ちえた最強の祝祭性ではないか。純粋に画面のスペクタキュラーによって、脳内に快楽物質がほとばしる。何度見ても、泣きっぱなしになってしまう。マジでやばい。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)3819695[*] ナム太郎[*]

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