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[コメント] 歴史は女で作られる(1955/仏)

マックス・オフュルスの遺作。矢張り彼らしい一種のオムニバスと云っても良い複数のエピソード(ローラ・モンテスによる回想)を流麗なカメラワークと場面転換で綴った豪華絢爛たる映画だ。
ゑぎ

 シーン間の繋がりと人物造型の面で例えば『輪舞』や『たそがれの女心』なんかに比べれば少々散漫な感はする。それは個々のシーンではとても魅力的なアントン・ウォルブルックオスカー・ウェルナーが全体的な印象の中では中途半端に感じられてしまう点等を指している。或いは各エピソード間の繋ぎの役割となるサーカスのシーンが散漫であるとも云える。しかしこのサーカス・シーンも実に魅力溢れる造型なのだ。また、モンテスの回想としてサーカスの団長を演じるピーター・ユスティノフが登場するシーンのシーケンス・ショットなんてオフュルス以外では考えられない素晴らしい演出だ。別れ際にユスティノフがキスをする!

 見ながらこれ程の絢爛たる演出にはもう二度とお目にかかることは無いのだ、という思いに衝かれてしまった。各シーンの美しさには本当にため息が出る。結局のところ映画はシーンでありカットなのだ。カットの美しさが勝負なのだ。

(評価:★4)

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