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[コメント] コマンチェロ(1961/米)

マイケル・カーティスの遺作は、ジョン・ウェインの西部劇なのだ。ありとあらゆるジャンルを撮った、というイメージの監督として、ある意味相応しい無差別感だと思う。
ゑぎ

 さて、出来具合としては、全体にウェインの鷹揚さがよく出た、逆に云うと若干緊張感を欠く、それなりに面白い娯楽作に仕上がっている。撮影は、ウィリアム・H・クローシアなので、勿論画面のつややかさの品質は高く、光の扱いに感嘆しながら見進めることもできる。

 しかし、本作を今見て最も驚かされるのは、矢張り、中盤10分程度しか登場しない、リー・マーヴィンの圧倒的な存在感だろう。頭の半分の皮をはがされているというルックスといい、大袈裟な所作も、よく通る声も実にいい!マーヴィンは本作の5年前に『七人の無頼漢』や『攻撃』などでも、既に重要な役をつとめているのだが、本作以降、ジョン・フォードにも見出され、主演級の俳優として活躍していくことが、とても納得できる。

 あと、明記しておきたいのが、中盤のインディアン襲撃シーン。まず始めに、家の窓から、騎馬で襲い来るインディアンを見せるカットがあるのだが、これが非常に唐突で、かなりアイキャッチさせる。しかし、その後の襲撃のアクション自体は、緊張感のない演出で、なんだか、ただ走り回るだけ、という中途半端さ。ウェインやスチュアート・ホイットマンがやられるスリルというものが全くないのだ。このあたりは本作のスタンスを象徴しているように思える。

 もう一つ、中途半端で惜しいのは、コマンチェロの集落で登場するボス役の、ネヘミア・パーソフの造型だ。車椅子姿で悪漢達を仕切るカリスマ、というキャラクターがなかなか面白いのだが、もっともっと魅力的に描くべきだ。

#備忘で配役などを。

・アヴァンタイトルは、ホイットマンの決闘シーン。

・オープニングクレジット中、乗馬姿のウェインが登場する。

・クレジット直後は船上のシーン。ホイットマンとアイナ・バリンの出会い。このシーンで悪役マイケル・アンサラが既に登場する。

・テキサス・レンジャーの隊長・大佐にブルース・キャボット。メンバには、パット・ウェインがいる。18歳という設定。目立つ良い役。

・銃の売人エド・マクベイン(役名)がグイン・ウィリアムズ

・ウェイン、マグベインに扮して、クロウという人物に会う。これがマーヴィン。

・ウェインが思いを寄せるミランダという寡婦は、ジョーン・オブライエン。その娘はウェインの実娘とのこと。

・コマンチェロのアジト。まず出てくるのが、ジャック・イーラム

・ボスは、ネヘミア・パーソフ。この人は『お熱いのがお好き』でもギャングの大親分を演じていた。

(評価:★3)

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