コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ブギーナイツ(1997/米)

私には、マーク・ウォールバーグの「凄さ」が、最後まで画面で提示されていないと思える。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 とても見応えのある映画だが、私は好きになれない。緊張感のある良いシーン、カメラワークもあるが、嫌なシーンも沢山あるし、何よりも決定的なものが欠落しているという印象が残る。

 ま、気にならない人には気にならないのだろうし、そういう意味で好みの問題なのだろうが、私には、マーク・ウォールバーグの「凄さ」が、最後まで画面で提示されていないと思えるのだ。ラストカットだけでは、私にはその「凄さ」が納得できない。彼の「凄さ」は、科白と他の俳優のリアクション演技で示されるのみだ。例えば、最初の撮影シーン(ジュリアン・ムーアとのからみのシーン)で、彼の「凄さ」は、ウィリアム・H・メイシージョン・C・ライリーバート・レイノルズの見事なリアクション演技のショットの積み重ねとして示されるのだが、撮影終了後に皆が「最高の演技だった」と絶賛する納得性が私には全く感じられない!二番目の撮影シーン(ローラー・ガール・ヘザー・グレアムとのからみ)でバート・レイノルズから体位のディレクションがあるのだから、せめてこのシーンで、こちらを納得させるくらいの迫力の画面を提示して欲しかったように思ってしまう。

 また、これも個人的な趣味の問題だが、ウォールバーグが母親と喧嘩して家を出るシーンや、後半の、素人とローラー・ガールが車の中で... というシーンに続くバート・レイノルズとヘザー・グレアムによる暴力シーンは大嫌い。私はこういう品のない修羅場の演出は大嫌いなのです。

 ただし、バート・レイノルズとジュリアン・ムーアは圧倒的な存在感。バート・レイノルズに後期の代表作ができたことはとても嬉しい。また、パーティ・シーン等の、シーケンス・ショットと人物の出入りのコントロールはなかなか見せてくれます。ラスト近くの、まがいモノの麻薬を売りつけに行った家のシーンで、中国人の少年が爆竹をバンバン鳴らしている、なんてところも好きですね。こういう、ストーリとは全く関係がないけれど、良いシーンを作るために考えられた演出が効果を発揮する、っていうのは演出家に才能がある証拠なのでしょう。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)けにろん[*] DSCH[*] ハム[*] Myurakz[*] トシ は津美[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。