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[コメント] 若草物語(1949/米)

ジョージ・キューカー版(1933年)の脚色クレジットの二人が本作でも残っている、つまり、本作はキューカー版を元にしており、ほゞ同じプロット構成を持つ。しかし、大きく異なる部分がある。それは、三女と四女を逆転させたキャラ設定だ。
ゑぎ

 これは前作との相違というよりも、原作からの大胆な改変だ。つまり、広く知られている三女ベスと四女エイミーの姉妹関係を入れ替えて、本作では、三女エイミー=エリザベス・テイラー、四女ベス=マーガレット・オブライエンとしているのだ。本作を見た際、まず、ベスがこんなに幼いことに面食らってしまったではないか。IMDbのTriviaを読むと、ベス=オブライエンのキャスティング優先で決定された措置らしい。確かに、エイミーもリズ・テイラーが相応しく、入れ替えがきかないとするならば、年齢差(とルックス)から、姉妹を逆転させる、という発想になるのだろう。いかにもハリウッドらしい。

 ジョージ・キューカー版も雪景色の絵から始まったと記憶するが、本作もクロスステッチの雪景色の絵にタイトルクレジットが入る。こちらの強みは、何と云っても、美しいカラー撮影だ。冒頭、画面奥から、次女ジョー=ジューン・アリソンが駈けて来る。家の窓から見る長女メグ=ジャネット・リーら三姉妹。ジョー、柵を跳び越すが、派手にこける。窓の向こうで笑う3人。こゝが象徴するように、本作も窓の映画だ。隣家の青年ローリー=ピーター・ローフォードが、二階の窓から四姉妹たちを見ているカットも窓越しの縦構図。ローフォードの二階の部屋から切り返すカットバック(リバースショット)、俯瞰の縦構図カットも、しっかり挿入する。中盤、出版社の建物から、アリソンとローフォードが二人で歩くシーケンスの、やゝ俯瞰で移動撮影する長回しも前作同様、見事なカットだ。

 ただし、後半の話の運びは、前作に比べても端折り過ぎの感覚を持つ。特に、マーガレット・オブライエンの一番の見せ場となるべきシーン(キューカー版では最も印象に残るシーンだった)が割愛されており、唖然とさせられた。また、この物語の前半は、南北戦争当時の銃後の生活を描いている、という側面もあるのだが、戦時らしい描写は前作に比べても本作は希薄だ。そういう意味でも、キューカー版に比べれば、少々薄っぺらいと感じる。

(評価:★3)

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