[コメント] ブリキの太鼓(1979/独=仏=ポーランド=ユーゴスラビア)
ちょっと想像と違う映画になっていて驚いた。それは、タマネギ酒場のエピソードが無い、ということに吃驚したのだ。原作で一番インパクトのある挿話がこの映画では描かれていない。なんと云っても素晴らしいのは、オスカルが入団する小人芸人一座のエピソード。この団長の存在感!この図式的な描写の美しさ!
この映画の一番の不満はセックスシーンの品のなさだ。このように暴力的にセックスを描くとぜんぜんエロティックでない。セックスシーン以外では美しい暗示で描かれたエロティックなシーンが沢山あるというのに。
また、この映画が私にとって弱いのは、想起させる映画が沢山あり、決してそれらに勝っていない、というところだ。個所のエピソードで傑出していても、『旅芸人の記録』程の偉大さがない。『戦争のはらわた』のような狂気の美学もない。一瞬、ジャン・ルノワールを想起させても決してその幸福感が持続しない。フェリーニみたいな描写があっても、フェリーニほど躍動してこない。不幸!
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