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[コメント] グロリア(1980/米)

グロリアが初めて発砲するシーン、唐突にそしてなんら躊躇なく銃弾を打ち込む演出には思わず目頭が熱くなるほどの感動を覚えた。このシーンの後、数分間は動悸が静まらなかった。これを見ても判る通りカサベテスはいわゆるエンターティメントの演出においても比類ない才能を持っていたのだと思う。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 この映画はカサベテス作品の中では最も普通の娯楽映画に近いものではあるが、商業性とカサベテス好みの画面設計のバランス感覚もこの映画のたまらない魅力なのだ。画面スタイルの上では、多くのシーンでカサベテスらしさが希薄であることは確かだ。カメラを引き気味に置いて望遠レンズを用いたアップカットを多用する演出は殆どないし、ステディカムではない純粋の手持ちカメラのカットも数えるほどしかない。逆に多くはミディアムかロングの固定カットだ。しかし、かと云ってハリウッド的な均衡のとれた構図ばかりではない。例えば駅のレストランでギャング達と対峙するシーンではもの凄い仰角カットが使われており天井がバッチリ映り込んでいる。このシーンでは少年の表情を殆ど映さずオフ・スペースでの演出に留めている点もカサベテスらしい。でもね、やっぱり私はラストのスローモーションが嫌なのですよ。これが良いという意見も判るのですが、ここまで情緒的過ぎる演出は私の好みでは無いのです。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)おーい粗茶[*] kawa[*] ナム太郎[*] ボイス母[*]

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