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[コメント] サイレンス(1998/仏=イラン=タジキスタン)

これは本当に美しい映画だ。冒頭からラストに至るまで全く弛緩することなくモフセン・マフマルバフらしい力強いイメージ、その連鎖が続く。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 川の側でパンを売る女達、川の側でざくろを売る女達、赤いバス、詩を詠む二人の女の子、市場、ラジカセを持つ男、親方、楽器屋、黒電話、算盤、ミツバチと糞バチ、そして池の側のナデレー。彼女がサクランボを耳にかけるカットのフィルムの触感。何という官能性。また唐突に馬車の馬と人力車をひく少年のクロスカッティングを持ってくるこの呼吸。このように忘れがたい画面を上げていくとキリがない。

 勿論、画面の素晴らしさだけでなく盲人を主人公とした映画らしく音の豊かさにおいてもちょっと比類ない。指で耳を塞ぐと水の音が聞こえるシーン、楽器をひく子供達、大きな鍋を打つ少年、そしてベートーベンの「運命」の変奏。ドアをたたく、ババババーン。

(評価:★5)

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