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[コメント] 荒野の七人(1960/米)

私も以前は『七人の侍』と比べて貶していたのだが、見直してみるとこれはこれでヤッパリ面白い!3時間を超える原本をコンパクトにまとめた構成も見事だが、何と云っても群盗の首領カルベラ(イーライ・ウォラック)のキャラクターを膨らませたことが映画としての勝因だ。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 例えばチコと村娘との恋愛描写の唐突さなんかは女性を描けないジョン・スタージェスの欠点が如実に現れている。木村功津島惠子が出会うシーンのドキドキ感、光の扱いの美しさには遠く及ばないと思う。女性を描くのが下手なことでは黒澤明も同様なのだが黒澤はそれでも画面造型の点で優れている。しかし、このような枝葉の描写を必要最小限とし、ストレートなアクション西部劇として押し切った構成がこの映画の良さだろう。

 また、出世する前のスター達がそれぞれ適度な見せ場を与えられた上で皆存在感溢れる仕事振りを残しており嬉しくなる。結局出世しなかったホルスト・ブッホルツブラッド・デクスターでさえ見事に一貫したキャラクターとしてジェームズ・コバーンチャールズ・ブロンソンに対抗している。そして盗賊の首領を演じるイーライ・ウォラックの存在感!こゝでは盗賊には盗賊の論理がある、ということがきちんと描かれ、ともすれば村を守る七人と立場が入れ替わったかもしれない同じガンマンとしての孤独な生き様が浮き彫りになる。ウォラックが一番人間性に溢れているのではないかと思えてくる。勿論、ユル・ブリンナースティーブ・マックィーンのヒーローとしての納得性があってのことなのだが、今現在見てもこの映画が面白いのはウォラックのキャラクター造型に拠るところも大きい。

(評価:★4)

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