[コメント] 今日限りの命(1933/米)
ジョーン・クロフォードをめぐる3人の男の映画。彼女の兄がフランチョット・トーン。トーンの友人にロバート・ヤング。映画の冒頭で、ヤングはクロフォードに求婚する。そこにゲイリー・クーパーが登場し、三角関係を形成する。
しかし、トーンとクロフォードに関しても、ホークスらしい危うさを感じさせる兄妹なので、もう、ほゞ四角関係に見えて来る。この男優3人は、特に後半になって、均等に近い、キャラ立ちのいい造型なので、逆に強さが分散した感もある。
アクション場面では、『地獄の天使』のフィルムも使っているらしい、ドイツへの空爆のシーンもあるが、こゝは今見ると、かなり未成熟なVFXで、見劣りがする。矢張り、後半の海上攻撃の場面が迫力がある。ボートで敵艦船へ近づいた上で、魚雷を発射して、Uターンするという作戦。敵から迎撃されても、なかなかあたらないのはご都合主義的ではあるが、それでも、ヤングが負傷することで、プロットが劇的にシフトする。
ただし、私が最も見応えがあったと思った部分は、実は、この後半のクライマックスではなく、クロフォードとクーパーが初めて出会う場面(彼女の父親の戦死が伝わった直後の場面)で、2人の会話を丹念に見せる部分だ。やはり、ホークスらしい、ウェストショット主体の見事なカッティングである。
とは云え、クーパーとクロフォードが、いきなり、相思相愛の告白をしたり、クーパーの死活の描き方がぎこちなかったりと、プロットは未整理な感覚を持つ。ホークスとフォークナーは、この出来に満足していなかったのであろう、後年、本作の設定を換骨奪胎して、『永遠の戦場』という傑作を製作することになる。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。