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[コメント] 砂塵(1939/米)

これもとてもよく出来た西部劇だ。全体にハル・モーアの撮影が素晴らしい。光の扱いが実に良く、小さな斜光や逆光を巧みに利用した驚きに満ちた画面が繰り出される。ジョージ・マーシャルも見直さなくては、という思いに駆られる。
ゑぎ

 冒頭数分の演出の手際良さで既に唸ってしまう。クレーン移動でサルーン(「LAST CHANCE SALOON」という名前)の2階にカメラが入るとポーカーゲームの男達。ブライアン・ドンレヴィが帽子のひさしに顔を半分隠して登場する。その後、彼が部屋を出てサルーンの2階から階下を見下ろす高低を活かしたカットが見事だし、1階の酒場のモブシーンもいい演出だ。このサルーンの空間造型は出色の出来。「リトル・ジョー」を唄いながらカウンターのマレーネ・ディートリッヒが振り返って登場。その傍にミシャ・オウア。ディートリッヒに尻を蹴られる飲んだくれの男はチャールズ・ウィニンガー。ウィニンガーはバンジョーを弾き「リトルジョー」を唄う。そして町長(判事)のサミュエル・S・ハインズがテーブルに座って噛み煙草を噛んでいる。という部分をテンポよく一気に見せる。20分を経過して登場するジェームズ・スチュワートジャック・カーソンアイリーン・ハーヴェイの兄妹、或いはミシャ・オウアの奥さん役のウナ・マーケルらも含めて多彩な登場人物が90分の中で見事にさばかれている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)jollyjoker[*] 3819695[*]

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