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[コメント] ビューティフル・マインド(2001/米)

窓の映画。チョークで数式がいっぱいに書かれた窓。この映画の窓は実にスペクタキュラーな造型だ。ロジャー・ディーキンスの色使いもコーエン作品同様素晴らしい。しかし窓の内・外を異空間として機能させて「映画のサスペンス」を定着させるような演出ではない。ロン・ハワードの志向性ではないのだろう。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 物語の二重構造とその転換の巧さは流石ロン・ハワードと唸らせられる。エド・ハリスもましてや親友・ポール・ベタニーまで空想の産物だと知らされた時の驚き。そして大きくならないポール・ベタニーの姪の扱いの面白さ。彼らが結局ラストに至っても視界から消えない、つまり病気が完治しないというある種の突き放しも面白い。

 ただし、どうせ映画は実話から離れたフィクションにしか成り得ないのだからラストでいつもの空想の3人と共に若く美しい妻・ジェニファー・コネリーがにっこり笑って立っている、というようなオチであれば最高だったのに、なんて無粋な無い物ねだりをしてしまった。ロン・ハワードの演出力、特にアクターズ・ディレクションが本物であることは確かだが矢張り生真面目過ぎる。

(評価:★4)

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