いやー面白かった。私も映画館に見に行けば良かった。たしかテレビ放映のＣＭもファミリー向けっていうのをかなりアピールしてた気がする。でも本編の内容となんかズレてる。記憶では、はしのえみとかゴリとかYOUが出てきて「感動したー」とかどーのこーの言って「（家族）みんなで見て下さい☆」とか言ってた気がするけど、これむしろ家族でみるより大人同士でみたほうが絶対盛り上がるよ。

前半はボブ（Mr.インクレディブル）のしょぼくれたリーマン生活。あたしも一応もう大人なんだけど、ボブの会社がなにをしているところで、ボブがなんの仕事してるのかよくわかんなかった。「こりゃあ子供が観てて面白いかなーだいじょぶかなー」などど自分の世間知らずさをよそに心配した。ちっちゃい車で帰宅、騒がしい家族と新聞を読みつつ食事。（あの食事シーンはかなり良い。前半ハイライト）終始無気力顔の元ヒーロー。そしてうなだれるたびにチラチラ見える、薄くなった後頭部。ヒーローがちょいハゲって！！！すごい冒険じゃないのかな。ていうか、ファミリーアニメにこんなリアリティ入れていいのかな。とまた余計な心配。

でもだんだんわかってくる。これは「大人も楽しめる子供アニメ」じゃなくて「子供も楽しめる大人アニメ」なのだと。物語の光はほぼ元ヒーロー夫婦に当たっており、リストラ、中年クライシス、不倫（疑惑）、離婚の危機などなど、およそ子供向けアニメにはなまぐさい、どちらかというと子供には見せたくない場面がどんどん入ってる。まるでＣＧの『アメリカン・ビューティー』（は言い過ぎかもしれないが）。

ボブは捕まり、あの美しくて強い奥さん、イラスティガールことヘレンが大活躍（飛行機の墜落までのシーンはかなりスリリング。必死に攻撃を回避しようとするヘレンの姿に半泣き）。変幻自在に伸びる体を駆使して敵地へ潜入するスパイ映画みたいにワクワクなシーンもたまりません。子供達が活躍し出してからは画面に釘付けです。まるで自分がダッシュの背中に乗ってるような疾走感。（ここのお気に入りはダッシュが敵の円盤型マシーンの上にのっかっちゃう時の表情。なんか笑える）ヴァイオレットが自分の力に目覚めるシーン、戦いながら成長していくところもワクワクドキドキ。家族が街を救いに戻るシーン、トラックを運転しながら「○○へ行くには○号線を下りればいいんだよな！」「違うわ○○よ！」「なに！？もう通り過ぎたじゃないか！」「だから○○の方が早いのよ！」なんて会話はどこかの夫婦もしていそうで、またリアルだなあ。ていうかこんな緊急時にまで夫婦ゲンカはよしましょうよ。ていうか絶対１００キロ以上出てるよ、危ないよ。Ｓ・Ｌ・ジャクソン氏の演じるフロゾンもかなりカッコイイ。物を凍らせながら滑る姿カッコイイ！！（でも奥さんには尻にひかれてるようで・・）

そしてラスト、ダッシュの陸上試合。「行け行け！ダッシュ！あ〜いやそんなに速く行くな、そうそう・・あ〜だからってそんな後ろはダメだ、あきらめちゃだめだ、そう２位ぐらいだ、そうそう、よーーし！！」と家族全員で意味の分からない応援をするインクレディブル家。となりの人の怪訝な顔つきが良い。

そんな金太郎飴状態に見所満載。レビューもいちいちこまかくなってしまいました。家族で観るのも良いですが、大人同士でみる方が絶対楽しいと思います。（05/6 DVD）