これは10年前から温めていた企画だそうで、監督は当時からナタリー・ポートマンに持ちかけていたらしい。予算などの事情があって撮影できず年月が経つ中、「あんま歳とるとダンサー役はキツイから早くして！」とナタポはやきもきしていたらしい。そして撮影に入る頃、彼女は28歳。10ヶ月に及ぶバレエの特訓をし挑んだ。結果はアカデミー主演女優賞受賞。これを偉業といわずしてなんと言おうか。

ナタリーをみると、必ず『レオン』を思い出す。どこかにあの時の彼女を探してしまう。そして大人になった彼女にどこか少し物足りなさを感じる。マチルダを超えるナタリーは観られないのではないかと。

この作品で、ナタリーはマチルダを見返した。この役はマチルダほど永く愛される役ではないけど、彼女のキャリアと個性と人生を込めた最高の演技だと思う。黒鳥のダンスシーンは圧巻。あんなに口をあけっぱなしで画面に食い入ったのは『落下の王国』以来だった。

ところで、このキャラクターの生真面目さ、なんかほんとにナタリー本人のイメージとだぶります。演出家に「お前、一皮むける必要があるぞ。とりあえず今日一人Ｈしてこい！宿題だ！」とか言われて、ほんとにしちゃうところとか。真面目すぎる・・・・（流せばいいのにそんなの・・・・まあ結果的に功を奏してるのかもしれませんけど）このシーンで思い出したのが、たしか彼女が『スターウォーズエピソード２』に出演した時、「カメラの前でキスシーンを撮ると、自分が娼婦になったような気がする。」というびっくり発言。そこまでか。真面目すぎるだろ。（ていうか女優だろ！）こういう「不本意だけど、やる時は全力でやる。」っていう部分。（結局だいぶエロいシーンいっぱい撮ってるもんね）

ライバル役のミラ・クニスも良かったなあ。いじわるな役かと思ったらすごい良い子だったし。『ザ・ウォーカー』でもよかったし、本国ではポスト・アンジェリーナ・ジョリーとかまで言われてるらしいし、ほんと今後が楽しみな女優さんだ。そしてウィノナ・ライダー・・・。いろいろ痛々しい。思い返せば全体的に結構えぐいキャスティングです。（2011/5/26　劇場）