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[コメント] クラッシュ(2005/米=独)

アジアの人間の扱いがあまりにも中途半端すぎやしないか、と思ったが構成は見事。多民族国家の抱える課題、人種差別は解きほぐされることのない問題なんだな。
JKF

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







俺は人種問題とは無縁のところでネットの情報を浴び、映画を観て、本を読み、既に偏見にまみれている。どんな民族や国家の人間であろうと素晴らしい人間もいれば糞食らえの人間も存在することは百も承知だが、中国人、朝鮮人、ユダヤ人、アラブ人といった単位で考えたとき、これらの人々にあまり良いイメージを抱いてないのは事実である。たとえば「被害者ぶるな、ユダ(略

ただ、その意識はこの日本で暮らしているから表面化してこないし、話題として話し合うこともまた少ない。日本が大陸に領土を保有していたり、大陸の中に領土を持つ国であったとしたら国民がもっと高い問題意識を持って接する事柄だったのかもしれない。

このように日本人が関わりがないのをいいことにいろんな民族に多大なる偏見や差別意識をもっているのだから、多民族国家アメリカでは衝突は当然のことなのかもしれない。白人×黒人にとどまらず、他の人種同士においても異なった文化、伝統、歴史を持つそれぞれの人間たちに先入観があり、その中で生じる優劣の意識や敵意を持って接してしまうのだ。

自分が外国に住んだときのことを想像してみると、しばらく経てば生活の中で身近な存在の人間とは国籍が違えどもある程度打ち解けるだろうが、日系や日本人と出会えば異なった安心感を得るのではないかと思う。同じ人種や民族というのは根底の文化や伝統で繋がっているような連帯感を持つのではないかとね。そして中東系やヒスパニックの人とは、積極的に関わりを持ちたくはないと思うだろう。それぞれの国家やら人種に対して先入観がある以上、どうしてもね。

そのようにして複雑な歴史や感情が絡み合い、単純な日常の中で当たり前のように差別や衝突は連鎖する。綺麗ごとのように語られてしまうが、中東系であろうと黒人だろうと守るべき大切な家族が同じように存在するという事実や、人間であるからこそ持ち合わせている良心(マット・ディロンが前夜にセクハラした女性を命がけで救出したり、車を盗んだ黒人の兄ちゃんが中国人を助けるようなね)といった人種間の歴史よりももっともっと深いところで通じ合ったものがあるにも関わらずね。

★5との間で採点に迷ったが、ひとまず★4

(評価:★4)

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