コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(2007/英=米)

個人的に現時点ではこれがハリポタシリーズのベスト。若干『スターウォーズ』化してる気もするけど。
JKF

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前作で復活を遂げた闇の帝王・ヴォルデモート卿との対決が本格的に始まる五作目。「暗すぎ」「最後の対決しか盛り上がらない」という不満を結構耳にした上で映画館へ。ちなみに俺は原作を四作目までしか読んでいなかったので、今回に限っては話の内容を知らなかった。

が、正直いい意味で期待を裏切られた。一・二作目にあったようなあっと驚く魔法界の華やかさも、三・四作目にあったような中高生らしい学校生活もそこにはない。魔法省とかいう、実態がよく分からん政府の理不尽な圧力を受け、周囲から疑いの目をかけられ、ヴォルデモートの影に怯えながら、いつになく暗い「二時間強〜三時間弱で語られる魔法学校の一年間」が始まった。

原作ファンにしてみれば、蛇足とはいえ愛すべきエピソードがいっぱい削られているのは不満だろう。それでもやっぱり駆け足展開の映画に、原作未読の観客は不満だろう。

周りは自分の言うことを信じない。それなのにダンブルドアは話を聞いてくれない。さらに新しく送り込まれた先生はとんでもないクソアマだ。そんな状況で怒りを蓄積し、疑心暗鬼になっていくハリーの心理描写もちょっと浅はかだった。そして何より時折ユーモアな描写があったものの、一度行ってみたいと思わせるような魔法世界が存在しないことは子どもも大人も楽しめるファンタジー映画ってことを売りにしてきたハリポタには致命的だ。

それでも本作を俺は賞賛したい。

クライマックス、ヴォルデモートに心を支配されかけた中で、ハリーは叫ぶ。「お前は愛や友情を知らない」みたいなこと。ヴォルデモートによって、楽しい学校生活も、周囲の大切な人間もハリーからは奪われた。これからも奪われるだろう。それでも守らねばならないかけがえのないものがある。それは「愛」であり「友情」だ。だから屈するわけにはいかないのだ。犠牲も強いられるだろうが、戦わなければそれらはすべて奪われてしまう。

これってホントにクサイ台詞だけど、全編通して明るい部分、ユーモアあるエピソードを排してまで映画が伝えようとしたことである。この作品を単体で見たとしたら、唐突な印象をぬぐえなかっただろう。でも、ハリーの成長と共に存在するかこの作品があるからこそ大いに台詞は説得力を増す。過去の四作品がハリーとその仲間たちの友情が本物であるように見せてくれ、守るべき世界があることを語っている。

「楽しさがない」っていうのはファミリー映画として致命的かもしれないけど、この作品は単体としてしっかり伝えるべきものをもっている。

また、残りの二作でハリーが死を決意して戦わねばならぬ運命や理由の明示にもなっているので、「つなぎ」としての役割も果たしている。

ところで、火花散らしてるだけのようにも見えたけど、パッと消えたり空飛んだり炎を出したり『ドラゴンボール』よろしくな戦いしてる最中、すっかり蚊帳の外に置かれていたハリーに勝機はあるのか?

あ、あとだんだん『スターウォーズ』化してる気がしたのは俺だけ?ハリーとヴォルデモートの表裏一体の関係はルークとベイダーを髣髴させ、初めて魔法らしい魔法を使ったダンブルドアは『スターウォーズ EP2』のヨーダを髣髴させた。次回作でヴォルデモートが「私はお前の父親だ」なんて言わないよな?

ダンブルドア「実はヴォルデモートはダークサイドに落ちたお前の父じゃ。やつは気づいてないが、お前には双子の妹が居る。そう、ハーマイオニーじゃ。」なんてことなんてこと・・・ちょっと期待してたりして。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)シーチキン[*] G31[*] づん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。