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[コメント] スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(2007/米)

タイトルは『フリート街の悪魔の理髪師』というよりはむしろ
JKF

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







フリート街之人肉焼菓子』ってタイトルでよかったんじゃないの?って思う。人肉をミンチにして商品にするだなんて、まるで『八仙飯店之人肉饅頭』じゃないか。

そんなことを思ってしまうのは、スウィーニー・トッドの復讐に関連する描写が生ぬるいということ。これは出血量の問題ではなく、すでに多くの人が指摘する通り人物描写の問題である。

スウィーニー・トッドもラヴェット夫人も明らかに人間らしい生き方を出来なくなった人たちである。しかし彼らは最初からそうであったわけでも、自ら好んでそのようになったわけでもなく、そう生きることを余儀なくされたきっかけがあり、<何か>を抱えた人々に違いない。残念ながら作品からはそれが全く伝わってこなかった。過去のティム・バートン作品のキャラクターたちからはそれがよく伝わってきた。ここまで内面が描かれていないと、ティム・バートンが登場人物になんら同情や愛情を抱いていないのではないかと疑いたくなる。

この結果、歌において感情の起伏があろうとも、それは胸を打つものではなく、皮肉にも最も血が通った登場人物はアラン・リックマンだった。美しく成長した娘に欲情するその偏執的でヘンタイな行動はどこか説得力があり、実に人間らしい。

また、ティム・バートンはこのところの『ビッグ・フィッシュ』『チャーリーとチョコレート工場』など、家族や親子のドラマに帰結することが多かったが、ここでは父と娘としての繋がりが生まれることすら拒んでいる。止みへ堕ちた人間は、自分の娘と心を通わせる資格がないと言うかのようだ。

そんなわけで結末は余韻を残さず、復讐なんかよりも『フリート街之人肉焼菓子』が果たして本当においしいのか、一人の人肉から何個のパイが作れるのかってことばかりが気になった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ishou[*] のらぞんざい[*] レディ・スターダスト[*] プロキオン14[*]

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