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[コメント] フィフス・エレメント(1997/米=仏)

映像クリエーターとしてのリュック・ベッソンの才能が裏目に出た。映像・音響効果に固執し過ぎて、話に拡がりを持たせたり、登場人物の感情を緻密に表現したりといった脚本家としての役割は、完全に放棄してしまったようだ。
Pino☆

 リュック・ベッソンという人は、美的感覚に優れた映像クリエーターとしての才能と、繊細な人物の感情描写を作品に織り込むことができる脚本家としての才能を併せ持った類まれな監督だと思う。少なくとも、『グラン・ブルー』や『レオン』、『ニキータ』といった初期の作品に関しては、その両方の才能に長けていることを充分証明していると思う。

 しかし、最近のリュック・ベッソン作品を見ていると、後者の才能は完全に忘れてしまったかのように思える。本作は、確かに映像美という点では、かなり凝った仕上がりになっていることを認めるが、しかし、話は単調で、登場人物の感情描写がどうみても甘過ぎる。この点は納得できない。完全に映像効果や音響技術に偏重した監督になってしまった感がある。

 本来、リュック・ベッソンの映画のセールスポイントは、美しい映像をバックにしつつ、登場人物の感情変化を緻密に描けている点にあったはずだ。そろそろ、映像効果を追求するのもほどほどにして、「ハートフルな映画作り」に戻って欲しいものである。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ジャイアント白田[*] m[*]

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