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[コメント] 海辺の家(2001/米)

壊すことは簡単だが、作り上げることは難しい。でも、それは楽しく崇高な行為なのだ。親父は息子の中に家以上にでっかいものを残した。それが本当に嬉しかった。正直、泣けた。
Pino☆

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 幼少の頃、僕は家を建てている所を見るのが好きな子供だったらしい。  親と出掛けて、建築中の家に遭遇すると、その前に何時間も釘付けだったのだそうだ。

 物を作ることの楽しさや喜びは、特別教えられなくても、僕は生まれながらにして持っていたのかもしれない。だから、今でも、大きさに関わらず、何か物ができていくのを見るのはとても楽しい。しかし、中でも、やはり家作りを見るのは特別に惹かれるものがある。

 そう言えば、僕の子供の頃のオモチャ箱の中には、小さなカンナとか、差し金とか、ノコギリとか、そんなものあったのを覚えている。これらは、全て建築中の家を見ていたことで得た戦利品である。家作りに興味を持っている子供を面白がって、大工さんがくれたものだ。そんなわけで、廻りの友達がみんな野球選手や電車の運転手になりたいと言っていた幼稚園の頃、僕の夢は大工さんだった。

 残念ながら、子供の頃の夢は叶わず、今の僕の仕事は大工ではないが、幸か不幸か、ものづくりと言われる仕事に就いている。やはり、物を作ることから、僕は逃れることはできないようだ。

 話が逸れたが、この物語、親子や夫婦の絆の修復という部分だけでも、非常に素晴らしい話だった。でも、僕は、一緒に家を作るという点が無かったら、☆5を付けてはいないだろう。やっぱり、物を作るというのは、色んな意味で崇高な行為なのだ。それが毎日自分達が住む家だったら、なおさらだ。

 癌に侵された親父が息子に残したものは、単なる海辺の家ではない。家を作ることを通して、何でも壊すことしか知らなかった息子が、物を作ることの難しさ、作ることの喜び、そして完成した時のこの上無い感動を知ったわけだ。きっと、これから、作る人生を歩んでいけるのだと思う。

(評価:★5)

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