ショーマンシップに溢れた役者陣の代表格は勿論ジョニー・デップである。この人はホント期待を裏切らない。頼り甲斐があるんだか無いんだか分からないヘッポコ船長スパロウのキャラ作りは見事だった。毎度のことながら、彼の芸達者ぶりには感心させられる。

　シナリオも悪くなかった。展開がスピーディーで、分かり易いというショーの基本要素がしっかりしているし、次のステップに進むためのアイテムや知識を出すタイミングが良い。ピンチを乗り越え、仲間を集めて幽霊船に乗り込んでいくあたりの展開は、まるでファンタジーＲＰＧの様だった。

　２時間２０分というのはちょっと長かったが、間延びした感じは無かった。ただ、ちょっと惜しいなと思ったのはラスト。スリリングなシーンからの盛り上げに今ひとつパワーが無かった。ショーの最後には、やっぱり華が欲しい。

　例えば、ラストはエリザベスとウィルの結婚式に舞台を移す。そして、そこに突然ブラック・パールが乗り込んで来て、略奪を始めると思いきや、祝砲とばかり大きな花火を打ち上げるとか、欲を言えば、そんな演出がラストに欲しかった。