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[コメント] ジャズ大名(1986/日)

あの城こそが、この映画の隠れた主役じゃないだろうか。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ユニークというか、独特の雰囲気をもった映画。様々にアレンジされたジャズナンバーも楽しいが、それ以上に、地下を持ち、領内の近道となるという、通り抜け可能な城の構造の奇抜さがなんともいえない。長い廊下に、横に連なる襖で隔てられた数々の間(部屋とは言いたくないね)、地下の座敷牢に台所、などなど。

それにどのキャラクターも嫌味がなくて楽しめる。特にお気に入りは領主の下の妹岡本真実。冒頭の体の大きい薩摩藩士の後ろから右に左にひょいひょいのぞきながらあいさつしたり、そろばんスケボーで廊下を行ったり来たりと、抜群の楽しさ。

それにあのそろばんスケボーは、ひょっとして『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の影響かもしれないが、それ以上の楽しさにあふれてて、スピルバーグよりもはるかに大きい岡本喜八の度量が見て取れた。あるいは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のパクリ方の見本、というべきか。

何はともあれ、とんでもない楽しさにあふれた一本なんだが、それだけに、ラストがあまりに収拾がつかなくなっているのは、正直、残念な気がした。まあ、凡人にはなかなか岡本監督の才気にはついていけない、ということかもしれないのだが、あと一歩物足りない感じはした。

(評価:★4)

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