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[コメント] 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964/英)

この映画のタイトルは通常は『博士の異常な愛情』とだけ表記されている。だから私は中学生くらいの時から、この映画はきっと『ドクター・モローの島』みたいな怪物に愛情を注ぐモンスターSFか、『サイコ』のような偏執的な愛を描いたものだと思い込んでいた。
シーチキン

マッド・サイエンティストが出てくる、というのは合っていたようだが、長い間、コメント欄のような大幅に誤った予備知識を持ち続けていた。ただ名監督キューブリックの名作SFという評価だけは知っていたので、数年前に、キューブリック監督の追悼記念として上映された機会に見てきた。

そういうわけで、見始めてからビックリすることだらけの映画であったのだが、数十年も前に製作されたとは思えないほど卓越したセンスには脱帽した。これ以前にはキューブリックの映画は『2001年宇宙の旅』しか見ていなかったが、まぎれもない天才監督だと得心した次第である。

鋭い風刺のきいたブラックコメディであるし、当時の米ソ間の緊張の高まりを背景に、戦りつするほどの衝撃があったのであろう。

同時にすごいのは、そういうことを抜きにしても文句なく楽しめる作品であることだ。この点が、日本の風刺と全然違うセンスの良さを光らせている。

(評価:★5)

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