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[コメント] エリザベス ゴールデン・エイジ(2007/英=仏=独)

ケイト・ブランシェット主演の『エリザベス』の続編というよりも、キルスティン・ダンストの『マリー・アントワネット』、ヘレン・ミレンの『クィーン』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズに便乗しただけの映画に見える。高揚感がなくて、くささだけがやたらと目についた。
シーチキン

前作から10年を経て、さすがにケイト・ブランシェットも年をとったなあと感じさせるシーンが随所にあるし、前作は25才で女王に即位する前後からせいぜい10年くらいの話で、今度は一気に即位から30年後、エリザベス女王が54才の頃の話に飛ぶのだから、劇中でも年齢を感じさせるようになるのは仕方がない。

ただその歳月の積み重ねの演出があまりに平凡でありきたりなせいか、盛り上がりに欠けて、役者が力んだ芝居をしてみてもくさいだけで、面白みに欠ける。

それに「パクス・ブリタニカ」と呼ばれるイギリスの圧倒的な世界制覇を実現のきっかけ・第一歩ともいえる、スペイン撃破の歴史的な戦い、遠く日本にまで影響を及ぼした、スペイン無敵艦隊壊滅の、史上名高い海戦の描写もCGに頼りすぎて迫力も何もない。

(当時の日本は戦国時代末期だが世界レベルでは情報は極端に遅れ、関が原の合戦、徳川家康の江戸幕府樹立の後も、伊達政宗がスペイン無敵艦隊をあて込んでそれを日本に派遣してもらい加勢を得て徳川政権と対抗しようとしたが、アルマダ海戦でのその壊滅を家康から知らされて、徳川幕府へ恭順する一因となった、というエピソードが山岡壮八の著書「伊達政宗」に出てくる)

そういう歴史の重みの上っ面だけをなぞろうとした映画で、前作より数段落ちるもの足りなさだった。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)りかちゅ[*] ジェリー[*] カルヤ[*] 中世・日根野荘園[*]

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