南部記者江口洋介のてん末は、それでいいのだろうかと、この問題を異常性癖の問題として扱うようにみえてしまい、何か釈然としないものが残った。しかし、一方でこの問題に、そういう側面がある、というのもやはり事実なのだろう。

人間の醜い欲望が肥大化させた醜悪な世界という現実は、それ以上の衝撃を、しばらくは思考停止どころか、身動きすらままならないようなショックをもたらした。

モノのように扱い衰弱した子供を袋に入れてゴミとして捨てる。

金で買われた生きた子供から取り出される臓器を売買するという現実。

いずれも言葉を失うものばかりだが、この現実をまずしっかりと見るべきだ、という作り手の思いは激しく心を揺さぶるものだった。

あと、短い出番ながら佐藤浩市の存在感はさすがの出来栄え。苦悩と葛藤、そして覚悟と不安がないまぜになった、生身の人間を感じさせ、それだけにいっそうの生々しさをこの映画にそえた。