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[コメント] ひゃくはち(2008/日)

「負ける」ことを飾らずに、しかし真正面から、真摯に描く物語は凡人の心をうつ。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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何事によらず、やるからには「勝ちたい」あるいは「成功したい」「上手くやりたい」などなど思うのは当たり前だし、そうなってこそ、苦労や努力が報われる、達成感が得られる、と思うのは当然だ。

しかし現実はなかなかそうはいかない。むしろ、私のような凡人にはそうならない方が普通で、「報われたなあ」とか「やったなあ」とか思うことの方が少ない。それでも、それでも懲りずにやり続けることはやっぱりある。

「好きだから」と言ってしまえばそれまでなのだが、そんなにつらく苦しい目にあって得るものもないのに、それでもやっているのを「好きだから」で、本当に自分を納得させられるだろうか。

この映画は、そのことについての一つの答を見せてくれたのではないだろうか。たとえベンチ入りという目標が達成できなくても、黙々と部活動を続けている3年生達の姿は、背番号組が死んでくれたら、と不謹慎だと思っても、心の奥底で考えずにはいられない、そういうものをぐっと飲み込んで、黙々と部活動を続ける姿は、一つの憧れでもある。

終盤の方はもう怒涛の感動クライマックス立て続けだが、最後の最後は試合終了を見せない。その描き方こそ「負ける」事を真摯に描いた、必然の帰結ではないだろうか。素直に「いい映画を見たなあ」と感じさせる良作だった。

(評価:★5)

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