コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ターミネーター4(2009/米)

熱い血と心をたぎらせ戦う人間と、目的遂行あるのみの不屈の機械との、互いに譲る事のできない激闘を描き、舞台こそ未来へ移ったが、紛れもなく『ターミネーター』の醍醐味を存分に味わえる一本。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







シリーズ4作目だが、3作目の若干ぶれた感じを上手くすっ飛ばして、ストレートに『ターミネーター』、『ターミネーター2』に直結させ、しかも今後の続編を期待させるという、小憎らしいほどよくできた映画になっている。

「抵抗軍側の戦力が、潜水艦からヘリ、地上攻撃戦闘機など、核戦争後の割にはずい分と強力なのは何故?」とか、「母から未来を聞いているジョン・コナーはともかく、未来を知るはずもないスカイネットの抹殺目標トップが一民間人のカイル・リースなのは何故?」とか、突っ込みどころはあることはある。

だが、ドラマの進行がともかく早いというかテンポよくサクサク進み、それがあまり気にならないうちに、涙が出るほどうれしい、当時のシュワちゃんの顔つきそのままの「初代ターミネーターT−800」の劇的な登場で、一気に間違いなくターミネーターの世界へどっぷりと浸ることができた。

それに「ジョン・コナーの知らない未来」というキーワードが、「ひょっとして、未来は変わり新しい展開が?」みたいな気持ちを事前にあおるという、上手な宣伝のおかげで、ターミネーターとの戦いは、シリーズ1、2作目へのあふれるオマージュとあわせて、最後までハラハラしながら、手に汗握り楽しむことができた。映画宣伝の手本といってもいいと思う。

また、力強くラジオで呼びかけるジョン・コナーの姿は、抵抗軍のリーダーたるに相応しい「熱い血と心」を感じさせ、この点ではクリスチャン・ベールはすばらしい演技をしたといってもいいんじゃないだろうか。

そしてこれは余談だが、『ターミネーター3』の拙コメントで、シリーズ3作目にして初めて抵抗軍が「星条旗」を掲げていることを指摘し、そうさせるものがあった当時のアメリカの状況を想起したことに触れた。

今回、この映画では抵抗軍の勢力からは「星条旗」が消え、人間の血の象徴としての「赤い腕章」が掲げられた。また潜水艦内の最高司令部らしき面々の顔ぶれにはアジア系?と見えるような顔もあった。

前作から6年。この年月をへてアメリカはまた変わったということも言えるだろう。もし、このシリーズの続編があるのなら、その時、抵抗軍は何を掲げているのだろうか。人類は変わるのだろうか。なあんてことをふと思った。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)ハム[*] prick[*] カルヤ[*] ダリア[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。