役者陣の中で一番見れるのが鹿賀丈史とあっては全体のレベルがしれてしまう。

宮迫博之は出番の少なさに助けられた観はあるが何とか及第点、一番達者なはずの松雪泰子はシーンによって出来不出来が大きくて微妙なところ。大友康平も健闘しているがクササも目についてしまった。新米刑事にいたっては笑うしかない体たらく。

おまけにその新米刑事が、美人の先輩からいきなり「これから一緒にすすきのに行きましょう」なんて突然言われてドギマギなんて、あまりに見え透いたウケ狙いの台詞回しは、本当に白けさせる。こういうわざとらしさがこの映画の最大のがんと言ってもよい。

このわざとらしさと演技のバラつきの中で、とてつもない貧乏くじを引かされたのが大森南朋ではないだろうか。私は彼のきちんとした演技は好評を博したＴＶドラマ「ハゲタカ」でしか知っていないから、この映画の有様が彼の真の実力でないことを祈りたい。

ただ、巨悪を感じさせるラストや、このままでいいはずがないという現場警官の真面目な心情をきちんと描いている点などは良かった。