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[コメント] マイマイ新子と千年の魔法(2009/日)

私たちの生きているこの世界は、子どもの世界と大人の世界の、二つの異なるものによってなりたっているに違いない。その二つは混ざっているようでもあるし、その区分はものすごくあいまいだ。でも、はっきりした違いはきっとある。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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例えば、泣きながらでも、怖さに震えながらでも、心を奮い起こして自分以外の誰かのために、友だちのために、みんなのために「明日の約束を返せ」と大きな声で言うことができるかどうか、とか。

山口県出身の自分にはあまりにノスタルジーを感じさせる作品でもある。とりわけ劇中の話し言葉が、あまりに見事に方言が再現されていてびっくりした。(ちなみに地元では「ちょる言葉」とかいったりすることもある。「〜しちょる→〜している」)

それも単純な再現ではない。私の実家でも、例えば父母と祖父母は大体は同じ方言を話すが、やはり微妙な違いがある。祖父母のそれの方がちょっときついというか、つよいというか。それに30キロくらい離れたり大きな山とか川を越えると、同じ方言なんだけどまた微妙に違う。

そういうものを本当に驚くほど丁寧に再現していると思う。予告編を見たときにも感じたが、ここまで方言に丁寧にこだわって演出する映画にはハズレがあるはずがないと思ったが、まさにその通りだった。

また、千年の昔に返った貴伊子が海辺から陸地を見て、「多々良山の形は変わってない」というシーンがある。思わず涙が出そうになった。

私の家の近所は再開発だ区画整理だなんだかんだでかなり町並みが変わっている。新しい道路ができ古い家は建て替えられている。私の実家も位置を百メートルくらい移動して建て替えられている。そんなところでも、家から見る山の形はそう変わらない。子どもの頃、飽きるほど見て、見るとはなしに見続けた、山の形のままだ。

「郷土」とはどういうものか、にくいばかりの気配りが本当に心に響いた。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)DSCH ダリア[*]

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