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[コメント] キャピタリズム マネーは踊る(2009/米)

起承転結のドラマがあり、ユーモアがありクライマックスがあり、心を震わせるラストシーンがある。「A Love Story」という副題に相応しい上質の映画だ。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







キリストとマフィアのパロディシーンは爆笑モノで、本当に良くできていた。ここだけ見ていると、マイケル・ムーア監督は、ひょっとしてタランティーノには及ばないかもしれないが、けっこうな映画オタクじゃないかなという気がした。

また映画としても良くできているが同時に、ジャーナリズムとしても稀有の出来映えだと思う。洪水のようにあふれ出る数多の情報の中から世の中の動きの根底をとらえようとし、しかもそれを何者もはばかることなく、時にとことん追求し、時に寸鉄人を刺すが如く、たった一つの問いかけで世の理不尽さを暴いていく。

だがムーア監督はやはりジャーナリストではない。なぜなら暴いて、それで終わりとしないからだ。自らその理不尽さの中に踏み入り、そしてそれを正そうと声を大にして呼びかける。

一緒に正そうと呼びかける、その点では彼はジャーナリストではない。自らの信念と世に訴えるべきものをもつ、立派な映画人ではないだろうか。

それも、今後も大いにがんばってほしい、尊敬できる映画人だと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)林田乃丞[*]

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