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[コメント] コララインとボタンの魔女(2009/米)

「日本昔話」みたいで毒気こそ少ないが、幻想的な楽しさとちょっぴりの不気味さがいい感じ。それになにより、最初はパースの狂ったように見えたコララインがどんどんキュートに、魅力的に見えてくるのがいちばん不思議。
シーチキン

日本では3D吹替え版しか劇場公開がなくて、やむなく3Dメガネをかけての鑑賞になった。だが、本作に限って言えば3Dメガネによる「色落ち」は、せっかくストップモーションアニメで製作した、その色鮮やかな人形たちの魅力を大きく損なっている。

時々3Dメガネを外して眺めたスクリーン上のキャラクターたちは、本当にきれいで鮮やかで生き生きとした姿を見せてくれていた。

その鮮やかさが3Dメガネをかけた途端に半減してしまう。できるだけかけたくなかったが、さして重要とも魅力的とも思えない3D部分がダブって見えてしまうからやむなくかけざるをえない。

それでも5点を付けることができたのは、その不思議さあふれる楽しさと、丁寧に丁寧に撮られたコララインの魅力の大きさ、小洒落たオープニングを上手くいかした演出の上手さ。そしてそれらを可能にした、3D技術とは関係ない製作陣の卓越した技術とそれを支えた情熱を感じられたからだ。

これだけ大きなギャップを見せつけられては、少なくとも私は3D方式を支持することはできない。また、ファンタジー系の映画にとっては豊かで鮮やかな色彩も大事な魅力だと思うが、それを損なってまで3Dにする価値があるのか、よく考えてもらいたい。

このままでは、「2D」の予告編ではきれいな画だったのに、3Dの本編を見てがっかりしたという例がいずれ出てくるのではないだろうか。

昨年秋以降、3本の3D上映を見てきた。その映画の評価は、4点、5点、5点、としているが、少なくとも私は、そのいずれでも「3Dが良かった」と思える映画には出会っていない。

映画の水準を引き上げるためには技術の向上は欠く事は出来ない要素の一つだろう。しかし、3Dとは、本当にそういう技術に今、なり得ているのだろうか。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)考古黒Gr[*] junojuna[*] ペペロンチーノ[*]

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