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[コメント] 月に囚われた男(2009/英)

アイディアは古典的で、全体的に1970年代の香りがするが、切なさとサスペンスをうまく織り込んだ良質なSF映画。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







オープニングの各シーンにするりと現れるキャスト・スタッフクレジットや、どこか幻想的な巨大機械が粉塵を巻き上げる月面掘削のシーンなど、いかにもSFらしい雰囲気を盛り上げる。

白を基調にしたシンプルな月面基地の描き方をはじめ、『2001年宇宙の旅』を連想させる映画でもある。だが本作に登場する「ガーティ」は「HAL」よりも人間くさい“情”を感じさせ好ましい。

つい先日ビデオレターで見た愛する妻がすでに何年も前に死んでいたこと、いきなり成長した娘の姿など、クローンがグサッと衝撃を受けるシーンはなんとも切ない。そしてニ人目がそれを知るシーンには、“二番煎じ”ゆえの哀しい滑稽さがあった。

「3年」という契約期間の、クローンにとっての意味などストレートには説明されていない設定(恐らく、クローンの寿命=耐用年数が3年なのだろう)の扱いもうまくこなしている。この点でも良くできたSF映画になっている。

何より二人のクローンの、それぞれの結末に漂う切ない空気が良い。(この結末は『ガタカ』を連想させる)

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (9 人)ベルガル peaceful*evening chokobo[*] ドデカプリオ[*] 3819695[*] ペペロンチーノ[*] セント[*] けにろん[*] Master[*]

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