ここまで何の悪意も邪心もなく「映画って面白いよな」とストレートに言われると、ついつい「そうだよな、映画っていいよな」と返してしまう。

すごいことを、不思議なことを、自分たちでやってみたい、撮ってみたい、そういう言わば映画の原点ともいえる好奇心とチャレンジ精神がそのままに伝わってきて、楽しくワクワクできた。

クライマックスでの余りに健気な少年の勇気は、できすぎではあるが、素直に感動させるだけの「下準備」、伏線があったからこそであり、それらを含めてやっぱりぐっとくる。

そして本当の意味での才能を感じさせたのは、エンドロールとともに流れた劇中劇の短編映画だろう。

おかげでエンドロールはほとんど見られなかったが、よくできた構成といい、話のテンポといい、未回収の伏線の残し方といい、えらく完成度の高い出来ばえだった。そしてそれらをひっくるめたサービス精神が何よりもうれしかった。