[コメント] 一命(2011/日)
どうしても『切腹』と比較してしまう。『切腹』で大きく引っかかっていた部分を、本作では「哀れ」をストレートに出すことで、「武士道」への批判はよりわかりやすく、それなりに痛烈となった。しかし、随分お行儀が良くなった印象もある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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三池崇史監督の前作『十三人の刺客』は1963年の同名映画のリメイクでもあるが、悪役を演じた稲垣吾郎の強烈なインパクトがあって、リメイク元とは別の映画としての存在感があった。
それに比べると本作は、同じ原作を使用し、映画の運びもほぼ『切腹』と同じになっている。そのためどうしてもそのまま『切腹』と比べてしまう。
そうすると、主演二人、市川海老蔵と役所広司は、『切腹』の仲代達也、三國連太郎と比べて遜色がなく非常によい出来だと思うが、他の脇役などでがくっと落ちる。
瑛太なんかはキレイ過ぎて、やつれもみすぼらしさも全然足りない。竹光での切腹シーンでの迫力も悲壮感も全然ない。さらに井伊家家臣でも、『切腹』で介錯するのは丹波哲郎である。そのことを思うと、本作を見ていて邦画界の役者の人材の薄さをしみじみ感じさせてなんだか切ない。
他にも小道具とかカメラワークとか殺陣とかで、いろいろと見劣りする部分も目に付いてしまう。
ただ、それらはあくまで昔の、時代劇の黄金期と比べてのものであり、本作はそれだけをとって見れば、十分に良くできた時代劇だと思うし、見ごたえもあった。
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