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[コメント] ダークナイト ライジング(2012/米=英)

一つ一つのドラマも丁寧だし、迫力あるアクションも楽しい。そして壮大な物語を仕上げ、完結させるものとしてはほぼ完璧だとは思う。だがそうであるが故に『ダークナイト』とは根本から異なる面白さだと思う。
シーチキン

本作を見ていて、前作『ダークナイト』の魅力の根本はジョーカーが体現した「混沌」にあったのではないかと思う。何か目的があって悪事を働くのではなく、ただただ気ままにやりたい放題で一貫性も感じさせない。そういう、いわば未体験の「悪」に振り回されながら必死で闘うからこそ、バットマンもいっそう魅力と深みを増したのではないだろうか。

そういう悪役に比べるとなんだかんだいっても、本作での悪役はかなり明確な目的をもって遂行される「悪事」に奔走しており、その目的と全貌を探り阻止するためのヒーローの奮闘であり、優れた演出や洗練されたセンス、スケールなどこそすごいが、基本は普通のヒーロー映画とそう変わらないようにも思える。

とりわけ、一作目『バットマンビギンズ』と二作目『ダークナイト』のいくつかのエピソードをきっちり伏線に見たてて、それらを本作の盛り上げに生かしている脚本はよく練っているし巧いとは思うが、返ってそれゆえに「良くできた物語」、「スターウォーズ」シリーズの二番煎じのようにも見えてしまうのだ。

ただ女優陣だけは本作が最高水準か。これだけは前2作の成功が大きな財産になったか、きれいどころを揃えてくれて、本当にうれしい。

個人的には、断然アン・ハサウェイ派だから、この物語の帰結も当然納得だし、メイド姿からフォーマルドレス、さらにはボディスーツですらりとした身体を惜しげもなく披露してくれて、本当にうれしい。

また、「バットマン」シリーズや『インセプション』で見かけた役者をきっちり使いこなしてみせるクリストファー・ノーラン監督の、なんだか日本の監督のような、役者へのこだわりもうれしい。

ビルの谷間をミサイルを振り切って飛び回る漆黒の飛行物体はそれなりの迫力ではあるが、一瞬、たまに私の部屋で見かける、黒くてニクイあいつ、「G」、をつい思い出してしまった。

(評価:★4)

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