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[コメント] のみとり侍(2018/日)

意外にきちんと時代劇している、痛快面白娯楽作にして、明るく楽しくエッチな堂々のR15。
シーチキン

江戸庶民の粋といなせ、人情と悲哀、反骨を太く貫いた物語、時代劇王道とも言える程に世に知られた田沼意次と松平定信の確執、そして京都の時代劇スタッフの底力に支えられ、本格時代劇に負けぬ風格が心地よい。

それに短いシーンだが阿部寛の御前試合もきちんとした殺陣でなかなかのもの。

とりわけうなぎやのシーンは秀逸。主演級二人の会話にあわせての周囲の客の反応が絶妙。何にも関係ないですよ、みたいな中でここぞというところでの「ざわめき」が何ともいえない。音響がいいのか、エキストラがいいのか、全体を仕切る鶴橋監督の腕が良いのか。映画ならではの醍醐味があった。

それに冒頭、田沼意次の下城行列で数多の「陳情」を受け付けるためにジグザグ、ジグザグしながら時間をかけてるシーンには思わずクスリとしてしまった。こういう楽しさが良いのだ。

最後の落ちがいささか陳腐で駆け足すぎて物足りないものがあったが、存分に楽しめる一本。

脇役陣はいずれも好演で良かった。特に豊川悦司の最後の庭先のシーンは『必死剣鳥刺し』を思い出させて、それはそれで楽しかった。

(評価:★5)

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