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[コメント] レ・ミゼラブル(2019/仏)

圧倒的な凄みと迫力をもったラストシーンには息を飲むと同時に、その闇に飲み込まれそうになった。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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全編通して生々しい、一人一人の登場人物のリアルで、普通の人間としての息遣いまで聞こえるようである。だからこそ何故、こんなことになるのかという、一方で衝撃的な絶望と、他方では当然と思える成り行きに、打ちのめされる。

終盤、子どもたちの攻撃の矛先は警官だけでなく一帯を根城とする大人たちへも向けられたのは、あざといと言えばそうかも知れないが、しかし、そうさせるだけのものがあるという現実を、観る者の眼前に突きつけた。そして突きつけられた私は、うろたえるしかなかったのかも知れない。

冒頭、W杯に沸き、みなが三色旗を掲げて狂喜乱舞した挿入部、あれはサッカーでなら誰もがわけへだてなく一体になれるのに、という希望めいた演出だったのだろうか。それとも街中に人があふれる中で、電車賃も払えず、店の中に入ることもできず、店でTVなりをみている人たちの歓声だけを頼りにするしかない人々との、格差を暗示したもの、と見るのはうがち過ぎだろうか。

今の社会は、世の中は、どうなっているのかという鋭い問いかけに心乱された映画だったと思う。

(評価:★5)

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