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[コメント] トキワ荘の青春(1996/日)

物語の土台にあるものを「時代に乗りおくれちゃいますよ」というたった一言の台詞でしか表現できない、自分の見たいものしか見ない、なんとも薄っぺらな映画。
シーチキン

「時代」から取り残された寺田に対し、この後の「時代」をつくってきたともいえる、「神様」・手塚治虫をはじめ、石森章太郎、藤子不二夫、赤塚不二夫などなどの書いてきた漫画は、寺田の目指した理想とは相容れないものだったのか。あるいは、彼らの漫画は、理想を持ちつつも「時代」に譲歩した妥協の産物だったのか。

それとも、彼らの漫画は、理想をつらぬき、なおかつ、多くの子どもたちの人気を呼び、支持されたものだったのか。そしてこの意味で、彼らは、理想とそれを実現するための努力を積み上げ、才能にも恵まれていたのか。

この根本問題にはいっさい触れずに、「時代の流れ」という一言ですませてしまう。その薄っぺらな姿勢からは、昭和30年代のレトロな雰囲気を出せば十分でしょ、という安易な下心が透けて見える。

(評価:★2)

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